Dr.コラム 認知症かな?と思ったときに大切なこと

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 高齢になるにつれて自分自身や家族に「もの忘れが増えた」「同じ話を何度もする」「道に迷いやすくなった」といった変化を感じることがあると思います。こうした症状が見られた時に「もしかして認知症?」と心配になる方も多いでしょう。「ちょっとおかしいな」と感じ始めたら、まずは早めに医療機関を受診することが大切です。

 認知症の前段階として「軽度認知障害(MCIとも言われます)」という状態があります。これは、日常生活には大きな支障がないものの、年齢の平均と比べて記憶力や判断力がやや低下している状態を指します。MCIは放置すると将来的に認知症へ進行するといわれていますが、生活習慣の見直しや適切な支援によって進行を遅らせたり、回復する可能性もあります。また、一般的に認知症は「治らない病気」とされていますが、中には適切な治療により改善する認知症も存在します。そのため、早めに医師による診断を受けることでMCIなのか認知症なのか、それとも他の病気による症状なのかを見極めることが大切です。

 診断を受けたあとは医学的治療と並行して、介護保険を利用した介護サービスや、地域包括支援センターや認知症カフェなど地域にある相談窓口を活用することが重要です。専門職に相談することで、本人ができることを保ち心穏やかに過ごすための支援や、良き相談相手として家族の介護負担を軽減する方法を見つけることが出来ます。認知症になったからといって、すぐに何もできなくなるわけではありません。本人の「できること」を尊重し、家族や地域の人々があたたかく見守ることが、本人の自信や生活意欲につながります。「忘れてもまた教える」「ゆっくり話す」「できる役割をお願いする」など小さな気づかいが大きな支えとなります。

 認知症は誰もがなりうる身近な病気です。だからこそ、正しい知識と支え合いの心で誰もが安心して暮らせる地域を作っていきましょう。

2025年9月号みんなのえがお
みえ医療福祉生活協同組合 いくわ診療所
所長 田中啓太
先生