看護のまなざし Vol.5

みんなのえがお

看護師長が語る「向き合う力」と「支える流儀」
病院でも、診療所でも、地域の訪問の場でも患者さんやご家族にもっとも近いところで、日々悩み、寄り添い、決断を重ねているのが看護の現場です。 この企画では、そんな看護の現場を支えるキーパーソン、「看護師長」たちにリレー形式で登場していただきます。それぞれの師長が大切にしている”まなざし”とは? 看護とどう向き合い、どんな想いで仲間を支え、医療に向き合っているのか。5番手は、伊賀町診療所で看護師長として活躍されている、いぬかいさんです。

伊賀町診療所 看護師長 いぬかい さん

自然な成り行きで看護師に
物心ついたころから看護師になろうと思っていたように思います。改めて振り返ってみると小さな頃よく病院を受診することがあり、いつもお世話してくれるのは決まって優しい看護婦さんでした。その影響なのか、自然と看護師という職業に惹かれていったのかもしれません。”将来の夢”も人の役に立つ仕事(看護師)を意識していたように思います。 看護師になり数年は病院勤務をしていました。その後、しばらくして結婚、出産、育児と10年程のち子育ても一段落した頃「もう一度看護の仕事に携わりたい、この機を逃したらきっともう戻れない」という看護への思いと、患者さんとの距離の近い診療所等で働きたいという希望もあり、縁あって伊賀町診療所の看護師として就職しました。

現場で大事にしている事
一人ひとりに寄り添うことを大事に、長く療養するにあたり、併走できるように!を心がけています。体調、指導(療養)、悩みはもちろん、表情、服装の乱れ、いつもと違う様子等々の変化に対する気づきはとっても大切だと思っています。わずかな変化が体調悪化のサインになることもあります。患者さんが安心して過ごせるお手伝いができるように、小さな変化に気づく観察力を大事にしていきたいです。ほんわかした雰囲気の地域の診療所、地域密着型の看護ができること、看護師の仕事を楽しく、やりがいを持って、元気に続けられることに感謝しています。今も患者さんと話すことが好きで、ついつい話しかけたくなって、いろいろと様子を聞きに隣に腰かけてしまいます(笑)。

様々な苦難はあるけれど
伊賀町診療所は不安定(度重なる医師の交代など)な時期が一時は続いていました。ご存じな方もおられるでしょうが、寂しくて、悲しくて、辛くて、大変な時期がありました。何もできない不甲斐なさや無力さに心底落ち込むことがあっても、”伊賀町がなくっちゃ困る”って励ましや温かい言葉をくれた患者さんや組合員さん。いつも隣にいて支えてくれたスタッフのおかげで、この年まで看護を続けられています。患者さんに、地域に、より頼まれる診療所を、少しでも長く続けていくために、マンパワー、施設面でできないことも多々(24時間対応、休日対応、様々な検査、診療)ありますが、できる範囲のことを精一杯やりたいと思っています。

次世代に伝えたいこと
技術・知識は当然大切ですが、その人それぞれに合った受け答え・対応もとっても大切だと思います。看護師業務+服薬・健診・他事業所との連携・書類整備等々することは多々ありますが、一つ一つの仕事がどれもこれも患者さんにつながるモノだと思います。耳を傾ける・話しかける・相手の立場を慮る・寄り添う・理解しよう(背景や環境・おかれた状況)とする姿勢・気持ちを中心においた看護、その人にあたった環境づくりを支援する看護、その人らしい看護像を追求して欲しいと思っています。

2026年5月号みんなのえがお